自動車査定協会のすべてを徹底解説!買取査定前に知っておきたい基礎知識

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<日本自動車査定協会(JAAI)>という組織をご存知でしょうか?日本自動車査定協会は、全国の中古自動車取引での査定に使用される<中古自動車査定制度>を管理しています。また、<中古自動車査定制度>に習熟した<中古自動車査定士>の認定試験を実施するなど、日本の中古車自動車取引の安定化に重要な役割を果たしているのです。

今回は<日本自動車査定協会>の行っている主要な業務と、<中古自動車査定士>の詳細を紹介します。

日本自動車査定協会(JAAI)とは


<一般財団法人・日本自動車査定協会(JAAI)>は、中古自動車の売買に関しての基準となる査定方法、<中古自動車査定制度>を定めている組織です。

経済産業省と国土交通省の許可を受けた第三者機関

<日本自動車査定協会>は民間団体ではありますが、設立には当時の<経済産業省>と<国土交通省>が関わっています。第二次大戦後、日本でも経済の発展と共に自家用車が普及し、一般家庭でも車を所有する事が普通になっていきました。それに伴い中古車市場も右肩上がりの成長を遂げ、「中古自動車の売買時の査定方法や査定額の算出に基準が必要ではないか」との声が出てきます。

そのような背景の中、昭和41年に経済産業省と国土交通省が主導して<日本自動車査定協会>を発足させました。日本自動車査定協会の主な業務は、「中古自動車の査定業務の基準を決めて、中古車取引を安定化させる事」です。

日本自動車査定協会は一般財団法人という民間の組織ではありますが、<経済産業省><国土交通省>の許可のもとに設立された経緯から、公正・公平な第三者機関として日本全国で中古自動車査定が適正に行われるように努めています。

中古自動車査定士技能検定を行う

<中古自動車査定士>は、日本自動車査定協会の定めた<中古自動車査定制度>に習熟していると認定される資格です。この資格があれば<中古自動車査定制度>に沿った車の査定を行う事が可能で、保有していれば中古車査定業務での信頼感が上がります。

事故による価格落ち分を事故減価格として証明

日本自動車査定協会では、<事故が原因で価値の下がってしまった車>の損失額を証明する書類を発行しています。事故などで車体の骨格(フレーム)が損傷して骨格の部品を交換したり修理を行った車を<修復歴車>と呼びます。

修復歴車は一般には<事故車>と呼ばれる事が多く、車の骨格を修理した事により車全体の強度が弱くなったと見なされ、ユーザーには敬遠されがちです。その為、中古車市場では修復歴車となった車は価値が下がってしまいます。

修復歴車の価格下落

修復歴車になったことでの自動車の価値の下落は、<価格落ち><評価落ち><事故落ち><評価損>などと言われます。本来、修復歴車となったことによる価格落ち分の損失は、事故の加害者側が補償するべきものです。

しかし、保険会社はこの<価格落ち>を認めない姿勢を見せる事が多いのが現状で、しかも、ディーラーの査定士は保険会社との絡みからか、経験不足などを理由に価格落ちの証明書を出す事を断るケースがほとんどです。

日本自動車査定協会の事故減価額証明

上記のようなケースで利用したいのが、日本自動車査定協会が発行してくれる<事故減価額証明書>です。<日本自動車査定協会>の全国52支所に配置された専属査定士が、事故による自動車の価値の減価額を査定してくれます。

査定は有料で、査定金額は<3,000cc以下の普通車>で7,020円(税込)、<3,001cc以上の普通車>で9,720円(税込)です。査定は日本自動車査定協会の支所で行われますが、出張査定も可能(別途出張料金有り)。

事故減価額証明書を発行する為の査定をしてもらうには、事前に電話での予約が必要です。予約後に<修理見積書のコピー><自動車検査証><自賠責保険証><整備手帳><取扱説明書>を持参して、日本自動車査定協会の支所に車両を持ち込んで下さい。査定は30分程度で終わります。

なお、事故減価額証明書は公平な第三者としての査定であり、日本自動車査定協会は交渉事には一切関わる事はありません。

中古自動車査定士とは


中古自動車の価格決めは、一般のユーザーから見ると「査定する側の都合や感情で適当に決められている」ような印象を受けてしまいます。しかし実際には、中古自動車査定士が<中古自動車査定制度>に沿って基礎となる査定額を算出してます。中古自動車査定士は、中古車取引業界に身を置く人間なら保持している事が前提となる資格です。

日本自動車査定協会の行う<技能資格検定試験>に合格した者に与えられる資格で、<小型車査定士>と<大型車査定士>の2つの資格があります。

・<小型車査定士>普通乗用車、最大積載量4t未満の貨物車の査定ができる。
・<大型車査定士>バスや貨物車などの大型車の査定を行う。

中古自動車査定士技能検定の受験資格

<中古自動車査定士>取得の為の技能資格検定試験を受験するのには、以下の3つの条件を満たす事が必要になります。

  1. 自動車運転免許を保有する事
    小型車査定士は普通運転免許以上
    大型車査定士は大型第1種免許以上
  2. 自動車を販売・整備した業務経験が半年以上ある事
  3. 協会が行う3日間の研修を修了する事

中古自動車の価格査定を行う

中古自動車査定士の主な業務は、<中古自動車査定制度>に従って中古自動車を査定し、適正な査定価格を算出する事です。ディーラーや車買取専門店で車の査定をする従業員のほとんどは、中古自動車査定士の資格を取得しています。

中古自動車の買取価格の決定には、厳密には中古自動車査定制度の基準以外にも価格に影響を及ぼす要素が存在します。それは、その会社独自の車種に対する価値判断や、その車を買い取ろうとする競合他社の存在です。

販売店には地域性や店の個性などがあり、売れ筋の車の車種もそれぞれ違いがあるもの。自社の都合でどうしても確保しておきたい車種では査定額も上がりやすくなります。1台の中古自動車を複数の業者が査定している場合で、その車をぜひとも買取りたい時は、利益の出るであろうぎりぎりの価格まで査定額を上げる事になります。

このように中古自動車査定士は、中古自動車査定制度のみで査定額を決定しているのではありません。しかし、ケースバイケースで車の買取額に多少の上下動をつけるにせよ、大元の中古自動車の査定額の算出は中古自動車査定制度を使って行う事になります。

<中古自動車査定制度>は全国的に中古自動車取引のベースとなっている、中古車の価値判断の基準なのです。

事故車・修復歴車の査定も行う

自動車が事故により車体の骨格部分に損害を受けると、<修復歴車>となり価値の減損が起こります。中古自動車査定士は「その自動車が修復歴車か否か」「修復歴車となった自動車の価格の下落はどれほどか」の判定を行うことができます。

しかし現実には修復歴車の判定や査定をやりたがらない査定士が多いので、その時は<日本自動車査定協会>の<事故減価額証明書>を利用してください。

大手ディーラーはほぼ全員取得しなければならない資格

自動車販売を行う会社では取り扱う商品が新車か中古車かを問わず、販売員に<中古自動車査定士>の資格を保有する事を奨励していて、実際にほとんどの販売員が取得しています。

中古自動車査定士は中古自動車の買取査定額の算出に役立つだけでなく、「自動車の構造や部品の基礎的な知識を取得する為に必要な資格である」と考えられているのです。その為、大手ディーラーに勤める営業マンもほぼ全員が中古自動車査定士技能検定試験を受験しています。

日本自動車査定協会の主な業務


<日本自動車査定協会>では、査定関係の業務を幅広く行っています。

査定関係

全国の<日本自動車査定協会>の支所で、以下の車両の査定が可能です。

修復歴車の査定

全国にある日本自動車査定協会の支所で、専属の中古自動車査定士が、<修復歴車>の<価格落ち>の額を算出して<事故減価額証明書>を発行します。

解約車の査定

クレジット販売などの解約車両の価格評価を、中立の立場で査定します。

係争車の査定

日本自動車査定協会は全国の裁判所から、係争になった車両の価格を算出する鑑定人として査定の依頼を受けています。

社用車の査定

会社で使用している車両の固定資産として価格を知りたい時、もしくは諸事情によって車両を処分する時に、公正な立場から査定を行います。

個人間取引のための査定

個人同士で車両を売買する時、第三者として公平に基準となる査定価格を算出します。

推定価格の証明

事故に会う前の車両価格の推定など、自動車の過去の価格の推定査定を行います。

オークション出品前の事前検査

カーオークションに車両を出品する前に、修復歴や各部署のチェックなどの検査が可能です。

査定制度の運営と管理

日本自動車査定協会は中古自動車市場での健全な取引を推進する為に、昭和54年に<通商産業省><運輸省>の指導で作られた<中古自動車査定制度>の普及と維持に努めています。以下がその主な業務です。

・査定士技能検定試験
・査定士の登録、管理
・査定士技能向上研修
・査定業務実施店の確認、管理
・査定士並びに査定業務実施店に対する情報提供
・査定に関する実態調査と指導
・査定基準の設定と研究、開発
・査定士技能コンテスト、査定教室、査定セミナー等の開催

中古自動車査定士の教育

自動車販売店の従業員や学生を対象にした、<中古自動車査定士>を取得する為の研修を行っています。また、中古自動車査定士に対する技術向上を目的とした講習会も開催しています。

中古自動車査定士技能コンテスト

中古自動車査定士の技術向上と資格の宣伝のために、<査定士技能コンテスト>を全国各地の支所で主催しています。

輸出中古車の検査

日本自動車査定協会では、海外での日本の自動車販売の信用を確保する為に、30年程前から日本から海外に輸出される中古自動車の品質チェックを行っており、現在まで200万台を超える検査実績があります。

商品中古自動車の確認証明

中古自動車販売業者が<自動車税の賦課期日(4月1日)>に所有している中古車は、自動車税が最高3ヵ月分ほど免除されます。この減免を受けるには<日本自動車査定協会>が発行する<商品中古自動車の確認証明書>が必要です。

日本自動車査定協会の主な刊行物


日本自動車査定協会では、中古自動車市場の活性化と中古自動車査定制度の普及を目指し、以下の査定・価格に関するガイドブックを販売しています。

シルバーブック

毎月1日発行で、中古自動車の小売価格を記載しているので中古車を購入する時の参考として活用可能です。(軽自動車は奇数月、輸入車は偶数月に掲載されます)

イエローブック

毎月1日発行で自動車販売業界向けに、中古車取引の目安となる卸売り価格を記載したガイドブックです。

査定ガイド

車両の車種、グレードを確実に見分けられるように、<指定番号><類別区分番号>の情報を掲載しています。通称型式や新車価格、販売時期などの各種情報も網羅。

査定士がいるお店の特徴


日本自動車査定協会の実施する中古自動車査定士技能検定試験に合格した<中古自動車査定士>が査定業務を行う店舗を、中古自動車査定業務実施店と呼びます。

中古自動車査定業務実施店のマークがある

中古自動車査定業務実施店では、日本自動車査定協会から交付を受けた査定業務実施店(会員店)であることを示す<標板>を掲示しています。また、同様に交付をされた<査定業務実施確認書>も保持しています。

査定協会の査定制度に則って査定価格に差が出ないようにする

中古自動車査定業務実施店では、中古自動車査定士が中古自動車査定制度に基づいて中古車の価格査定を行いますので、中古自動車査定業務実施店に指定されているお店同士では基礎的な車両価格に大幅な差が出ないようになっています。

まとめ


中古自動車の価格決定は漠然と決まる訳ではなく、統一された基準である<中古自動車査定制度>を元に決められています。その中古自動車査定制度を管理・普及させる役割を担っているのが<日本自動車査定協会>です。

中古自動車の査定に個人の感情や判断が入り込まないようにする事は、中古自動車取引を円滑化し中古車市場の信頼性を高める効果を生んでいます。公平な第三者としての<修復歴車>の査定など、他所では行っていない唯一の業務も多く、<日本自動車査定協会>は日本の中古自動車の取引にはなくてはならない存在となっているのです。