車を売却したらどう仕訳する?ケース別の仕訳方法を徹底解説!

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事業で使っていた車を売却した際、どうやって仕訳をしたらいいかというのは、あまり知られていません。車の売却時の仕訳方法は、法人や個人事業主など、ケースによって異なります。難しいと思われがちな仕訳方法について、ケースごとに詳しく解説します。

法人が売却した場合

法人が所有する車は、年数に応じて減価償却を行うため、購入した時点から法定耐用年数が差し引かれて価値が下がっていきます。

車の売却時の価値に対して売却益が出た場合、差額の分に法人税として消費税が加算されます。たとえば、売却時の価値が20万円の社用車が30万円で売却できた場合、売却益となる10万円に消費税がかかります。

車の売却は「課税取引」

課税取引というのは、消費税が課税される取引の事をいいます。日本では大半の取引に消費税がかかるので、ほとんどが課税取引です。

課税取引には4つの条件があり、以下の全ての条件を満たす取引にはすべて消費税が課税されます。

1.日本国内での取引
2.事業として行う取引
3.対価が発生する取引
4.資産の譲渡や貸付およびサービスの提供

法人が国内で車を売却する場合、事業として車という資産を売却することで対価が発生するため、消費税が発生する課税取引となります。また、消費税込処理には2つの方法があり、直接法と間接法があります。

直接法と間接法は、どちらを選んでも構わないため、これまでの仕訳方法に合わせたやり方で進めましょう。次の項目では、消費税込処理の直接法と間接法の違いについてまとめました。

消費税込処理・直接法の場合

直接法は、帳簿上に減価償却した車の金額をそのまま記載します。直接法は比較的規模が小さい会社で用いられることが多い方法です。国内の中小零細企業の大半は、償却費の処理で直接法を利用しています。

直接法はその名の通り、減価償却の際に直接資産の金額を減らしていきます。一目でわかりやすいシンプルさが特徴で、簿記初心者の方でも計算しやすい方法です。

借方 金額 貸方 金額
現預金(④) 1,200,000 車両運搬具(①-③) 800,000
預託金(②) 18,000
固定資産売却益(④-①+③-②) 382,000
合計 1,200,000 合計 1,200,000

消費税込処理・間接法の場合

間接法は、帳簿上で減価償却をする方法で、価値が減少した分の金額を帳簿の項目に計上します。間接法を利用する企業はある程度規模が大きく、経理担当がいるようなところが多いです。

間接法は直接法と違い、固定資産の価値を直接減らすことはありません。購入時の取得金額と別に、これまで減価償却した金額を記載します。

わかりやすさには欠けますが、これまで使った費用や減価償却した費用がわかりやすいというメリットがあります。

借方 金額 貸方 金額
現預金 1,200,000 車両運搬具(①) 1,500,000
減価償却累計額(③) 700,000 預託金 18,000
固定資産売却益 182,000
合計 1,900,000 合計 1,900,000

法人で消費税免税事業者の場合は?

原則、消費税は全ての事業者に公平に課税されますが、特例により消費税の納付が免除される事業者がいます。

消費税が免税される条件や、消費税免税事業者が車を売却した場合の仕訳方法をまとめました。

消費税免税事業者とは

法人の場合、課税期間の基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税が免除されます。

前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下という条件から、開業後2年間は消費税が免除になると勘違いしている方も多いのですが、それは誤りです。

平成25年以降に開業した事業者は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(前事業年度開始日から6ヶ月間)の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税対象となります。

さらに、資本金や出資金が1,000万円以上の法人と、特定新規設立法人の場合も消費税免税にはなりません。

消費税抜処理・直説法の場合

消費税抜処理の直接法の場合、帳簿上に減価償却した車の金額をそのまま記載するのは税込の場合と同様です。

消費税抜処理を行う場合は、帳簿上にかかる消費税を仮受消費税として記載します。税込処理と比べて消費税の記載が別になる分計算の手間がかかりますが、納税する消費税の金額が見やすいというメリットがあります。

借方 金額 貸方 金額
現預金(④) 1,200,000 車両運搬具(①-③) 800,000
預託金(②) 18,000
固定資産売却益(④-①+③-②) 382,000
仮受消費税等 64,000
合計 1,200,000 合計 1,264,000

消費税抜処理・間接法の場合

消費税抜処理の間接法の場合も、消費税を仮受消費税として扱う以外は、基本的に税込の間接法の場合と変わりません。

4種類ある帳簿の記載法の中で最も煩雑ですが、税率の変動があった場合など、過去の帳簿を見直しての再計算がしやすい点がメリットです。

借方 金額 貸方 金額
現預金 1,200,000 車両運搬具(①) 1,500,000
減価償却累計額(③) 700,000 預託金 18,000
固定資産売却益 182,000
仮受消費税等 120,000
合計 1,900,000 合計 1,820,000

個人が売却した場合

法人とは異なり、個人が車を売却した場合は別の仕訳方法が必要になります。個人が車を売却する際の仕訳方法について解説します。

「譲渡所得」として仕分ける

法人の場合は車の売却は取引とみなされますが、個人の場合は譲渡にあたります。そのため、仕訳を行う際には売却で得た利益は譲渡所得として扱われ、以下のように計算します。

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)-特別控除額50万円 =譲渡所得

特別控除の50万円を超える利益が出なければ譲渡所得は発生しません。また、所有期間が10年を超えての譲渡となる場合は、課税対象となるのは譲渡所得の2分の1です。

個人事業主が売却した場合

個人事業主が売却した場、車の使用目的によって所得税が発生する場合とそうでない場合があります。

通勤用として使用している自動車を売却した場合は、所得税は発生しません。通勤で使用する自動車は生活動産として認定されるため、生活に必要な財産として扱われるためです。

通勤で使用しない、レジャー用の自動車の場合は売却時の譲渡所得に対して課税される場合があります。ただし、課税対象となるのは売却益が50万円以上のケースです。

中古車を売却した場合は新車時より値段が下がることがほとんどなので、年式が浅い人気車や希少価値が高いレア車でない限り、個人が車の売却によって課税されることはほとんどありません。

事業所得などと損益通算することができる

譲渡所得で発生した利益は、事業所得との損益通算が可能です。ただし、譲渡損に関しては事業所得と損益通算できないので注意が必要です。

事業用と自家用の自動車が共用の場合は、譲渡損益を家事按分するのがおすすめです。家事按分をした場合、家事で使用した分の割合は事業主貸として経費から除外できます。

消費税込処理・直接法の場合

個人事業主の消費税込処理・直接法の場合も、法人の仕訳と同様の方法で行います。個人事業主は法人よりも経理がシンプルなことが多いので、最も計算しやすい消費税込処理・直接法がおすすめです。

借方 金額 貸方 金額
現預金(④) 1,200,000 車両運搬具(①-③) 800,000
預託金(②) 18,000
固定資産売却益(④-①+③-②) 382,000
合計 1,200,000 合計 1,200,000

消費税込処理・間接法の場合

個人事業主の消費税込処理・間接法の場合も、法人の仕訳と同様の方法で行います。

ただし、個人事業主の多くが利用する青色申告では、減価償却累計額の項目がなく、直説法が前提となっていますので、あまり間接法を使用する機会はないでしょう。

借方 金額 貸方 金額
現預金 1,200,000 車両運搬具(①) 1,500,000
減価償却累計額(③) 700,000 預託金 18,000
固定資産売却益 182,000
合計 1,900,000 合計 1,900,000

個人事業主で消費税抜きで仕訳する場合は?


法人と異なり、個人事業主は税込での会計処理が基本です。年間の売上が1000万円以下の個人事業主は、もともと消費税の納税義務が免除されます。そのため、税抜処理を行う事はできません。

個人事業主で消費税抜きの仕訳ができるのは、消費税の課税対象となる年間売上1000万円以上の事業者だけです。

この場合、消費税を込みとするか抜きとするか、どちらかひとつで全ての会計処理を行う必要があります。取引や年度ごとに仕訳方法を変えることは原則できません。

消費税抜処理・直説法の場合

個人事業主でも消費税の課税対象となると、仕訳方法は法人の場合と変わりません。会計処理の手間がかかりますが、固定資産税の対象が消費税を抜いた金額となるため、車を資産として扱う際に消費税分有利になります。

借方 金額 貸方 金額
現預金(④) 1,200,000 車両運搬具(①-③) 800,000
預託金(②) 18,000
固定資産売却益(④-①+③-②) 382,000
仮受消費税等 64,000
合計 1,200,000 合計 1,264,000

消費税抜処理・間接法の場合

課税対象となる個人事業主は消費税抜き処理を選択することができますが、間接法は帳簿が複雑になるためあまり利用されません。

銀行から融資を受けるような規模の個人事業主の場合は、決算書の関係で減価償却累計額が必要になるケースもあるかもしれませんが、あえて消費税抜き処理で間接法を選ぶ必要はないでしょう。

借方 金額 貸方 金額
現預金 1,200,000 車両運搬具(①) 1,500,000
減価償却累計額(③) 700,000 預託金 18,000
固定資産売却益 182,000
仮受消費税等 120,000
合計 1,900,000 合計 1,820,000

リサイクル預託金の仕訳にも注意

今回解説した仕訳の中にある「供託金」の項目は、新車を購入する時に全ての所有者が支払うリサイクル供託金のことです。

リサイクル供託金の内訳は用途によって細かく分けられているため、仕訳の際の処理にも注意が必要です。リサイクル供託金は、次のような内訳になっています。

・シュレッダーダスト料金
・エアバッグ類料金
・フロン類料金
・情報管理料金
・資金管理料金

このうち資金管理料金を除く4項目は、廃車時の費用になるため課税対象外の供託金として勘定できます。資金管理料金は、購入時の支払い手数料とみなされ、課税取引となります。

分からない場合は相談を!


自動車の売却の仕訳方法は、非常に複雑です。法人と個人の場合で異なるのはもちろん、消費税を込みにするか抜きにするか、直接法か間接法かでも処理が変わります。

よほど経理に長けていなければ、正しく仕訳の計算をすることは難しいでしょう。自分の取引の場合、どの仕訳方法にするのが最適かは、税理士や税務署に相談するのがおすすめです。

事業内容や取引内容から、一番適した方法を教えてくれます。また、煩雑な仕訳計算には会計ソフトを使うのもおすすめです。

わからないことがあれば積極的に相談し、一番メリットの大きい方法で仕訳しましょう。

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